
下部内視鏡検査(大腸カメラ)
下部内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸カメラとは、肛門から長いスコープを挿入し、大腸と小腸の末端部までを観察するものです。大腸がんの発見のほか、大腸ポリープ、憩室症、潰瘍性大腸炎などの様々な病気を診断することができます。高画質カメラで腸管の粘膜を直接観察できるため、X線バリウム検査に比べて微小病変の発見に優れています。
検査では必要に応じて病理診断用の組織を採取したり、ポリープを切除したりします。また、出血部位を止血することも可能です。
検査に要する時間は組織採取やポリープ切除などがなければ20分程度です。
なお、当院で使用する内視鏡は、日本消化器内視鏡学会が定めるガイドラインに準拠した消毒衛生管理を徹底し、感染症にも十分配慮しておりますので、安心して検査を受けていただけます。
「内視鏡検査は痛そう、苦しそう、怖い」というイメージを持たれる方が多いのも事実ですが、当院では少量の鎮静剤(麻酔薬)を注射して眠ったまま検査を受けることが可能です。検査では腸管内にガスを注入するためお腹が張って痛むことがありますが、眠った状態で検査を行うため、このような苦痛を感じることなく終了します。
また、身体の緊張が取れることで、カメラの挿入や観察をスムーズに行うことができるため、検査の質の向上につながります。
検査終了後は、鎮静剤の効果が切れるまで1時間ほど休憩していただいたのち医師の結果説明を受けてご帰宅となります。(鎮静剤を使用した場合、当日の自動車、バイク、自転車などの運転はできませんのでご注意ください)。
大腸に発生し、周囲の組織に拡がり他の臓器にも転移を起こす悪性腫瘍です。病気の進行度は4つのステージで表します。ステージⅠ・Ⅱ・Ⅲの順に進行度が高まり、ステージⅣが最も進行度が高い状態です。
ステージIなど初期の大腸がんでは症状がほとんどありませんが、進行すると血便、便秘、下痢、便が細くなる、貧血、腹痛、腸閉塞などが現れます。
なお、大腸がんは腺腫という小さなポリープの形で発生することが多く、ポリープの段階で切除してしまえばがんに進むことはありません。ポリープを放置してある程度のサイズになると一部にがん細胞が混じってきて、後に全部ががん細胞に置き換わるという経過をたどるため、ポリープを切除することは大腸がん予防のためにとても有効です。
内視鏡検査では、その際に見つけたポリープの多くをその場で切除することができます。そのため、症状が現れる前の定期的な大腸内視鏡検査が重要です。
大腸の壁が外側に向かって、5mmほどの小さな袋のように飛び出した状態を言います。内視鏡で見るとえぐれた穴、くぼみのようになっています。
個数は数個から数十個を超えることもあります。
大腸憩室の保有者は40歳以下では10%以下ですが、50歳代では30%、70歳代では50%、80歳以上になると50-66%と、年齢とともに上昇していくことが明らかになっています
多くは無症状ですが、出血や、憩室炎(腹痛、発熱、腸に穴があいて腹膜炎を合併するなど)を起こすこともあります。
原因不明の慢性的な炎症性腸疾患で、厚生労働省が難病に指定しています。若年層(10代後半〜30代)に発症することが多く、近年増加傾向となっています。症状は繰り返す下痢・腹痛・血便・発熱などですが、悪化すると大腸の粘膜がただれて大量の出血が起こります。
治療は、腸管の炎症を抑えるために、5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド製剤、免疫抑制剤、生物学的製剤、白血球成分除去療法などを重症度によって使い分けます。
症状が再燃しやすく、完全に治すことが難しい病気ですが、継続的な治療により症状がおさまり、健康な人と同様に生活することも可能です。注意すべき点は、潰瘍性大腸炎は発症から10年以上経過すると、炎症粘膜を背景にがんが発生しやすくなることです。そのため、粘膜の炎症が治癒した状態を長く保つことや、定期的な内視鏡検査を行うことが重要です。
潰瘍性大腸炎に類似した難病指定の炎症性腸疾患ですが、大腸だけでなく全ての消化管に炎症が起こるのが特徴で、肛門にできた痔を契機に見つかることもあります。腸が狭くなって詰まったり破れたりもしやすく、手術が必要となることがあります。
薬物治療は潰瘍性大腸炎に準じます。
大腸の粘膜に十分な血液が行き届かなくなること(虚血)で引き起こされる病気です。
虚血を起こす原因には、動脈硬化、脱水による血流の低下、便秘や浣腸による腸管内圧の上昇や排便後の急激な内圧低下などがあり、これらが複合して発病すると考えられています。
高齢者や便秘がちの女性に多く、強い腹痛に続いて下痢が起こり、血便がみられるのが典型的です。身体の左側に位置する大腸の部位(下行結腸、S状結腸)に好発するため、お腹の左側が痛むことが多いです。
症状が強い場合は、腸を休ませるために絶食としますが、その間は水分・栄養補給のための点滴が必要となるので入院治療が必要です。
1
検査予約
大腸カメラは検査の前に、必ず事前の診察が必要となります。電話でご予約の方でも、診察や下剤のお渡しなどのため事前受診していただきます。
2
検査前日
食事の制限と下剤の服用があります。
水、お茶、スポーツドリンクは夜遅い時間でも飲用可能です。
3
検査当日
検査開始の4〜5時間前からご自宅で追加の下剤を服用していただきます。午前中に当院より排便状況の確認電話を致します。
ご来院の時間は検査開始の30分前です。
4
検査
排便状況の最終確認のち検査着に着替え、検査用ベッドに横になっていただきます。
鎮静剤を注射しリラックスした状態で検査を受けていただきます。
※検査時間:30分程度
5
検査後
検査終了後はリカバリールームで休憩いただき、その後、医師より検査結果について説明があります。
鎮静剤を使用した場合、その日は車や自転車等の運転はできませんのでご注意ください。
検査内容 | 健康保険で3割負担の場合 |
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大腸カメラ(観察のみ) | 6,000円前後 |
大腸カメラ+病理組織検査 | 約10,000〜15,000円 |
日帰り大腸ポリープ切除 | 約20,000〜30,000円 |
※1割負担の方は上記金額の1/3程度、2割負担の方は2/3程度のご負担となります。
※病理組織検査とは病変組織を一部採取して顕微鏡診断する検査です。部位や個数により費用は異なります。
※上記金額に診察料、薬剤料、検査用下着代などが別途かかります(約1,500円〜3,500円)